『FEエンゲージ』のストーリーはひどい?評価が分かれた理由

ゲームのレビュー
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万紫千紅を前にファイアーエムブレムエンゲージについて、
ストーリーの評価軸だけでゲーム自体の評価も下がっている、
という件について争いが起きている様子。

皆様ちょっと落ち着きましょう。
同じエムブレマーではありませんか。
味方同士を傷つけ合ってはなりません。

エリーゼが言っていたではないですか、
「…愛する者(ファイアーエムブレム)を守るために、
必要なのは… 本当は剣じゃなくて
温かい手と、涙なの… 」

そう、ここで必要なのはお互いのお互いに対するファイアーエムブレムへの理解の相互なのです。

というわけでこの記事では

・なぜストーリーへの不満が、ゲーム全体の評価にまで波及したのか
・それでも本作を「出来の悪いゲーム」とは評価できない理由
・なぜ『ファイアーエムブレム エンゲージ』のストーリー評価が分かれたのか

 を考察していきたいと思います。

※この記事は当然のごとくエンゲージのストーリーのネタバレ、
引いては過去作のネタバレをガンガン行いますのでご注意を

①なぜエンゲージのストーリーについて意見が別れるのか

・過去作の類似点

まず正直に申し上げると、エンゲージのストーリーは
シリーズを長くプレイしている人こそ既視感が強い。

()内は過去作名・該当キャラ
・記憶喪失の主人公(覚醒・ルフレ)
・マムクートの主人公(if・カムイ)
(変身はしないけど。ねえ、なんで!?ネタバレになるからか!?)
・主人公をかばって死ぬ母親・ルミエル(if・ミコト)
→後に敵として登場(if 透魔ルート・ミコト)
・正体が謎の敵・異形兵(覚醒・屍兵、if・透魔兵)
※聖魔のゾンビも一緒にするか悩みましたが、名称に「兵」がついているかで判断
・ラスボスの正体が父親(if 透魔ルート)

…とこのようにエンゲージのストーリー部分でも結構過去作の設定がダブっているのです。
過去作っていうか覚醒とif。
ここでファイアーエムブレムの30周年記念作ともいえる作品だから、
過去作の主人公のオマージュにしたのでは?
ということも思えなくないのですが、残念になるほどに2つの作品にあまりにも似通った展開。

さらに、『覚醒』『if』のシナリオやキャラクター設定に携わった小室菜美氏が、本作ではシナリオディレクターを担当しています。
そのため、過去作と似た展開が続くことで、「同じような物語しか書けないのではないか」という批判にもつながりました。 

さらにこの設定があまりにも序盤で続けざまに頻発されるので、
私もプレイ中に「あっこれ見た」「これも見た」と意外性なくがっかりしてプレイしてました。

(しかもやっとエンゲージオリジナルのストーリー展開が本当の本当に終盤のため、ゲーム自体が終わってしまうという)

しかし!これはあくまで長くプレイしてきたエムブレマーのお話。

過去作を知らない新規プレイヤーからすると、
 そこまで極端に破綻したストーリーではないのです。

①自分をかばって死んだ母のために奮起する主人公
②迫りくる正体不明の敵
③世界を救うため、各国を巡って仲間と指輪を集める 

という王道ズバリのストーリーとなっています。

ストーリーやキャラクター登場の演出で「ん????」となることはあっても、
(スタルークの土下座初登場シーンとか、指輪が取られるシーンとか)
ストーリーとしてはそこまで紛糾するほどひどいストーリーではないのです。

ストーリーやキャラクターの演出方法には疑問を持たざるを得ませんが。

風花雪月とのストーリーの重厚さとの比較

この争いの最大の争点。
それはエンゲージの前作、風花雪月との比較。

これが圧倒的にエンゲージのストーリーの不評に一役を買っているでしょう。

風花雪月は確かにすぅぅんばらしい出来で
・大河ドラマをプレイしているかのような重厚さ
・戦争や宗教に翻弄される主人公やキャラクターたち
・国・歴史・宗教、価値観の設定の深さ
・キャラクター設定の関係性、背景の奥深さ
などなど、さまざまな要素が濃い密度でぶん殴ってくるゲームでした。

それと比較してエンゲージ
・勧善懲悪!王道!なストーリー
・ラノベかと思うほど濃ゆい味付けのキャラクターたち
・個性で殴り合う支援会話
と、軽い気持ちで楽しめるゲーム。

風花雪月並みの密度を期待してプレイすると肩透かしを食らうのです。

キャラクター同士の濃い関係性の演出は?
それぞれが戦うための深くて悲しくもある、熱い動機は?

エンゲージにもあるにはあるのですが、風花雪月ほど重たい演出方法にはなっていないのです。

そもそもコンセプトが違うのですから。

エンゲージはディレクター鄭さんが

前作は士官学校が舞台となる大河ドラマのような壮大な物語で
各勢力の違いによってストーリー分岐が楽しめるような構成でした。

でも今作のストーリーでは
ひとつの大きな目的を追っていくことで構成をシンプルにし、
戦術シミュレーション部分でもじっくり面白さを味わっていただきたいな、と。

そこで、ワールドマップ上で、世界を歩きながら物語を進めていったり、
仲間となるさまざまなキャラクターを成長させていったり・・・
そんな「RPG感覚」で遊べるものを開発することにしました。

というのも、今回は
ロールプレイングシミュレーションの魅力をまだ知らない人にも
見た目で面白そうと思ってもらえるような、
もっと間口の広いゲームを目指したかったからです。

引用 開発者に訊きました : ファイアーエムブレム エンゲージ|任天堂 

 

とあるように、そもそも風花雪月とはコンセプトが違い、
初心者でもSRPGにとっつきやすいようなゲームになるように作ったゲームです。

つまりは、
ファイアーエムブレムっておもしろそうだけど難しそう・・・。
戦争のゲームでストーリーが重いんじゃないかな・・・。
といったライト層に向けられて作られたゲームなのです。

風花雪月が歴史書なら、エンゲージはラノベ。
風花雪月がクラシックなら、エンゲージはPOPミュージック。
風花雪月がケーキなら、エンゲージはスナック菓子。

それでいいではありませんか。

楽しみ方のジャンルが違うだけで、好みは人それぞれなのです。

まあ、私は凝った方が好きなので風花雪月の方が好きなのですけれども。 

ファイアーエムブレムシリーズのストーリーの重厚さとの乖離

ファイアーエムブレムは30年以上続いている長い歴史があるだけに様々なストーリーのゲームが生み出されてきました。

特に初期は設定が重く、
敵軍から祖国をとりもどすため立ち上がる主人公。
戦争によって引き裂かれてしまった家族や恋人。
様々な事情を抱えながら、時に複雑な感情を抱えながらも共に戦う仲間たち。

という
「重い設定・人間関係だ~~い好き!」
「戦争はいけない!(でも戦争によって引き起こされる悲劇は大好物)」など、
戦争を扱う作品ならではの重厚さが好きな方がシリーズをプレイしてきたのではないかと思います。
(これは間違いなく私の偏見です。外れてたら本当にごめんなさいね!!)

しかし、風向きが変わったのがファイアーエムブレム覚醒。
シリーズが下火になってしまって、これが最後のファイアーエムブレムだ!の覚悟で出したゲームが、今回のエンゲージのようにいわゆるラノベのような気軽さを前面にうちだしたゲームだったのです。

そしてこの覚醒が見事売り上げのV字回復を成し遂げ、シリーズが今に至るまでの売り上げを叩き出したのです。

いままでの重厚さと打って変わって、ポップで軽い演出。
(ストーリーは今まで他のゲームに比べ通り重めな方ではあるが、演出、ゲームシステムが軽い)

このファイアーエムブレムシリーズの方向転換が重厚なストーリー性を好むエムブレマー(古参多めか?)とポップなストーリー性を好むエムブレマーとの、
シリーズの違う方向性の演出を好む悲しき分断を生み出す結果となってしまったのです。

エンゲージのストーリーは戦隊もの

それでは重厚なストーリーがお好きなエムブレマーは何を持ってエンゲージをプレイすれば、ストーリーに対するストレスが軽減されるのか。

私はこう思うことにしました。

エンゲージは「戦隊モノ」のストーリーなのです。

・指輪で変身
・指輪に封じ込められた仲間(マスコットキャラ枠か?)
・はじめは敵として出てくる仲間
・何度も出てくる敵の幹部

OPムービーの一発目から今回のコンセプトは出ていたのです。

そう、ファイアーエムブレムエンゲージは戦隊モノ。

このシーンなんかまさに映画でよく見る戦隊モノ歴代主人公集結シーン

風花雪月の大河ドラマと同じ物差しで語ってはいけないストーリー、コンセプトだったのです。

皆様もはじめてかぐや姫のストーリーを知ったとき、いきなり原本の「竹取物語」を読んだ人はおそらくいないでしょう。
子供向けの挿絵が付いた絵本から始めた人が大多数のはず。

ファイアーエムブレムもそうなのです。
誰もが最初から、国の歴史や宗教、複雑な人間関係を詰め込まれた戦記物を求めているわけではありません。

分かりやすい物語を入り口として、シミュレーションRPGの楽しさに触れる作品があってもよいのです。 

新規プレイヤーが増えること、プレイヤーの層が厚くなることが大事なのです。

いずれみな、行きつく先は業の深いストーリーに病みつきになっていきますから…。
まあそれにしたって演出やその他はもうちょっとやりようがあったのではないかとは思いますが。

ファイアーエムブレムエンゲージのいいところ

ここまでストーリーを散々くさしてきた私が、それでもルナティックをクリアし、邪竜の章にまで挑んだ理由。

それは、戦闘がめちゃくちゃ面白かったからです。

一応クリアしたという証拠画像。

苦しくも楽しかった143時間。ルナティックはもうしばらくやりたくない笑

ここからはファイアーエムブレムエンゲージのいいところを列挙していきます。

なんていったって楽しいバトル

ファイアーエムブレムエンゲージ、最大の魅力。それは戦闘システムの楽しさ。

エンゲージの戦闘システム、マップの完成度、難易度は個人的に他の作品よりも群を抜いていると思います。まじで。

長所を伸ばすか、短所を補うか、過去作主人公達(紋章士)とキャラクターのペアの組み合わせ!
継承させたいスキル構成!
オルァ!!!手元がお留守ですよ!ブレイクシステム!
イナゴの大群のように押し寄せる敵キャラ(しかもつよい)の捌き方!
エンゲージ技をいつ使うか!今でしょ!
…いやちょっと遅かった!!はいやり直し!!!!!

葛藤、試行錯誤、努力、そして時には運を経てつかむ勝利。 

特にルナティックの難易度(邪竜の章なんかほんともう半端ねーよ!)はすさまじく、1ターンを終えるのに15分以上かかることもままありました。

1つのステージクリアするのにほぼ4時間かかったりしたことも。邪龍の章はね、桁違いにやばい。

ターンを戻す竜の時水晶を全部使い切って一か八かの勝負に出て勝った時の高揚感たるや!!

なにがすばらしいかって、これもう無理じゃね?も
戦うキャラの順番を変えたり、
倒す敵と残す敵を変えたり、
エンゲージ技を使ったりと、
アプローチの仕方を変えればクリアできる、そのぎりぎりの難易度調整が素晴らしいんです。

そして何より、エンゲージシステム。

歴代主人公の特徴を表した必殺技や、昔の作品で苦労したマップをエンゲージのキャラクターで挑戦できることの楽しさ、嬉しさ。

ファイアーエムブレムエンゲージはこんなにも製作者のファイアーエムブレム愛や、プレイヤーに対する愛に満ちた作品だ、ということをひしひしと感じました。

召喚されたディミトリ。このあと必殺率22%の中2回必殺をキメてお帰り遊ばしました。

BGMの楽しさ

歴代ファイアーエムブレムにも心へぶっ刺さる名曲は数多くありますが、エンゲージのBGMについては、もう……いいね!! 素晴らしいね!! と言うしかありません。

なかでも好きなのが、マップBGMから戦闘用の激しいアレンジへ、曲が途切れることなくシームレスに切り替わる演出です。

覚醒から入ったエムブレマーとしては、戦闘に入った瞬間、同じ旋律の音が厚くなり、一気に盛り上がるのが、もーーー好きで好きで。

とりわけ大好きなのが、「砂塵と爛漫」と「砂塵と爛漫~熱」。
Nintendo Musicで何度もリピートしています。
しかも時間を調整できるし。
聞けるように便宜を図ってくれた方、マジの本気でありがとう。愛してる。

私には流れていないはずの南国の血が、心と体を震わせるんですわ。
そして、邪竜の章で長考したため延々と聴くことになった「流転せし者~烈」。
残業で帰れないとき、自分に発破をかけるため、今も特にお世話になっています。

イラストがそのまま動く美しさ

そして、もうひとつ触れておきたいのが3Dモデルの美しさ。

エンゲージになってから段違いに美しくなっていませんか!?
キャラがイラストそのまま3Dモデルで動くのは本当に感服しました。

開発者に訊きました : ファイアーエムブレム エンゲージ|任天堂
によるとMika Pikazo氏が細かく監修してくださったようです。
感謝~~!!

前作『風花雪月』は戦記もので、
たくさんの兵士がいる軍を
「騎士団」として率いて戦う華やかさがあったんですけど、
それが故に3D表現としてはあまり派手な演出ができなかった側面もありました。
キャラクターひとりだけが動いていると、
周りが追従してないように見えてしまったりするので
どうしても動きを抑えめにする必要がありました。

でも今回は戦いの演出を「個」でできるので、
走りこんで技を決める、砦から弓を射るなど、
どんどん派手にやってほしい、と
インテリジェントシステムズさんにお願いしました。

引用 開発者に訊きました : ファイアーエムブレム エンゲージ|任天堂 

とあるように3Dモデルにかなり力を入れてくれて作ったおかげで、キャラクターの表情の動きにかなり幅が出るようになったと思います。

この感謝とも苦笑とも一言で言い表せない感情の表現ができるようになった

そして『万紫千紅』の映像を見ていると、エンゲージで積み上げられた3D表現の技術が、次の作品にもつながっているように感じます。

ディートリヒの凶悪な笑顔もちゃんと表現。ちなみに私はディートリヒからプレイすることを心に決めております

ストーリーについては擁護しきれない部分もある。
それでもエンゲージが、ファイアーエムブレムの戦闘と表現を一段先へ進めた作品だったことは忘れてはいけないのです。

まとめ

正直なところ、『エンゲージ』のストーリーや演出方法については擁護しきれない部分が沢山あります。

しかし、ストーリーが面白くないからといって、ゲーム全体が出来の悪い作品になるわけではありません。

『エンゲージ』には、何度も挑戦したくなる戦闘の楽しさ、歴代作品への愛に満ちたエンゲージシステム、素晴らしいBGM、そしてイラストがそのまま動くような3D表現があります。

そもそもファイアーエムブレムに何を求めるかは、人によって違います。

重厚なストーリーが好きな人。
キャラクターとの交流を楽しみたい人。
難しい戦闘を何時間もかけて攻略したい人。

今回の分断は、古参と新参の争いというより、それぞれがファイアーエムブレムに求めるものの違いから生まれたのではないでしょうか。

皆様、そろそろ剣を収めましょう。
我々は同じエムブレマーではありませんか。

そして『万紫千紅』という、次なる戦場へ向かおうではありませんか。

なお、今回この記事で『エンゲージ』を全体的に擁護しようと思って書き始めたのですが、肝心のストーリーを擁護できたかというと……。

ごめんな。
そこはやっぱり擁護しきれねえんだわ!!

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